口腔育成期(-1歳~5歳まで)
乳児食育期(-1~3歳)
-1~3歳のお子様が対象となる「乳児食育期」は、その名の通り「食育」がメインとなる期間です。
そのため、正しい食べ方やアゴの使い方を覚えることが主な目的となります。
「マイナス1歳」とは?
乳児食育期が「マイナス1歳」から始まっていることに疑問を持たれた方も多いことでしょう。
マイナス1歳というと、当然ですが赤ちゃんはまだ生まれていません。ただ、お母様のお腹の中での発育は始まっています。
妊娠中お母様がどのように過ごすかによって、お腹の赤ちゃんの発育も大きく変わってくるのです。
妊婦さんはお口の中が汚れやすい?
妊娠中は、「つわりの影響」「ホルモンバランスの乱れ」などによってお口の中が汚れやすくなります。
つわりがひどいと歯磨きするのが難しくなり、歯垢・歯石がたまります。ホルモンバランスが乱れると唾液の分泌量が減少して、口内乾燥を招きます。
その結果、唾液による殺菌作用・抗菌作用・自浄作用が期待できなることから、口内細菌の活動が活発化するのです。
妊娠期に注意すべきは「歯周病」
妊婦さんが最も注意すべきお口の病気は「歯周病」です。
妊娠中に産生・分泌が多くなる「エストロゲン」は、歯周病菌が大好きな女性ホルモンであり、「妊娠性歯肉炎(にんしんんせいしにくえん)」という歯周病のリスクを大きく上昇させます。
比較的軽度の歯周病である歯肉炎に留まっている段階であればそれほど問題にはなりませんが、歯周炎(ししゅうえん)へと進行して歯周病菌が血流に乗ると、子宮までたどり着いて「早産・低体重児出産」を引き起こすことがあります。
0~3歳までは口内環境が劇的に変化する
生まれてから3歳くらいになるまでには、口内環境が大きく変化します。
歯が1本もない状態から始まり、生後6~8ヶ月ごろには最初の乳歯が生えてきます。
その後は2年ほどかけて20本の乳歯は生えそろいます。この間は正しい食べ方やアゴの使い方を覚えることはもちろん、適切な口腔ケア方法を身に付けることも必須となります。
「感染の窓」が開く時期に要注意
1歳半から2歳半にかけての1年間は「感染の窓」が開く時期と言われています。
たくさんの乳歯が生えてきている状態なのですが、歯並び・噛み合わせはまだまだ安定しません。
そのため、汚れがたまりやすく、虫歯菌への最初の感染が起こりやすい時期となっています。
この時期を虫歯菌に感染せず乗り切ると、それ以降の感染リスクが大幅に減少することがわかっています。
そこで感染の窓が開く時期に是非とも意識していただきたいのが以下のポイントです。
- 口移しで食べ物を与えない
- 家族内で食器を共有しない
- キスなどのスキンシップは控える
- お子様だけでなくご家族も虫歯予防に努める
乳幼児の虫歯のほとんどは、感染源が一緒に暮らしているご家族となっています。
上記のポイントを意識するだけでも、お子様の虫歯リスクを大きく減少させることが可能となります。
幼児口腔育成期(3~5歳)
乳歯列が完成する3~5歳は、「幼児口腔育成期」です。永久歯歯列へと移行する前の重要な期間であり、お子様のお口が健やかに発育するようにサポートすることがメインとなります。
そこで当院では「Vキッズ」というマウスピース型の装置を活用します。
Vキッズとは?
Vキッズとは、夜眠る時だけ装着するマウスピース型の装置で、「小児睡眠時育脳サポート装置」とも呼ばれます。
マウスピースを下の歯に装着することによってお口が広くなり、顎と舌が自然と前方へと持っていかれるので、呼吸がしやすくなるという効果が得られます。
呼吸を改善する理由は?
歯並びの治療でなぜ「呼吸」を改善するのか、不思議に思われた方もいらっしゃることでしょう。
まず、幼児口腔育成期の主な目的は「アゴの成長を促して口腔機能を育てる」ことであり、歯並びを細かく整えることではありません。
そして、呼吸というのはお口の発育と密接な関連があるものなので、早期に正常化しておくことが重要なのです。
お子様にこんな症状はありませんか?
- いびきをかいている
- 寝相が悪い
- 夜中に起きることが多い
- 口を開けて眠っている
- 横向きで眠っていることが多い
これらの症状は、「呼吸がしにくい」ことで起こりやすいです。
つまり、「お口が狭い」ため、十分な酸素を取り込めず、良質な睡眠をとれていない状態を意味します。
その結果、脳や身体の成長発育にも悪影響が及ぶことがあります。
睡眠中は「成長ホルモンの分泌」が活発
「寝る子は育つ」という言葉があるように、睡眠中は成長ホルモンの分泌が活発になります。
良質で十分な睡眠をとる子供ほど、健やかに成長発育することができるのです。
お口が狭いと呼吸がしにくくなり、身体はもちろんのこと、歯や顎、脳の発育も妨げられてしまいます。
そこで有用なのが「Vキッズ」です。Vキッズのマウスピースは、お口を広げて睡眠時の呼吸を確保し、十分な酸素を全身へと供給することが可能とします。
これが「小児睡眠時育脳サポート装置」という名前の由来でもあります。