プレ矯正・第一期矯正(6歳~12歳)
プレ矯正期(6~7歳)
プレ矯正期とは、小児矯正における「第1治療」の準備段階です。
主に「アゴが小さい原因を治す」ことが目的となります。使用する装置は「トレーニング用マウスピース」です。
トレーニング用マウスピースとは?
プレ矯正期で使用するトレーニング用マウスピースは「プレオルソ」と呼ばれるものです。
プレオルソは、現役の歯科医師が開発した取り外し式の矯正装置で、乳歯列期から混合歯列期にかけて使用します。
当院では6~7歳のプレ矯正期に活用しております。
トレーニング用マウスピースに期待できる効果
プレオルソによる治療では、歯並びの改善はもちろんのこと、「咬み合わせ」や「お口ぽかん」の改善、「口呼吸から鼻呼吸への移行」「舌のトレーニングによる正しい飲み込みや発音の習得」などの効果が期待できます。
これらによって「アゴが小さい原因を治す」ことも実現できるのです。それでは個々の効果について、いくつか詳しく解説していきましょう。
【口呼吸から鼻呼吸への移行】
「お口ぽかん」とは、普段からお口が半開きになっている状態です。
一見すると愛苦しい仕草にしか見えないのですが、実はお口ぽかんは顎や筋肉の発育に悪影響を及ぼします。
なぜなら、お口ぽかんの状態は口腔周囲筋が緩んでしまっているだけでなく、口で呼吸していることも意味しているからです。その状態が習慣化すると、顎の骨の成長が妨げられます。
お口の筋肉が活動することで顎の骨が成長する?
顎の骨の成長には、お口周りの筋肉の活動が欠かせません。
お口ぽかんや口呼吸で、口腔周囲筋が休んでいると、それを支えている骨も同じように休んでしまうのです。
そこで有用なのがトレーニング用マウスピース(プレオルソ)です。
プレオルソを「家にいるとき」と「寝ているとき」に装着することで、お口周りの筋肉が正常に働き、口呼吸から鼻呼吸へと促されます。その結果、顎の骨も正常に発育してくのです。
舌のトレーニングによる正しい飲み込み・発音の習得
プレオルソにはもうひとつ、舌の筋肉をトレーニングする効果も期待できます。
実は舌の運動も歯並びの形成や顎の骨の発育に深く関係しています。
また、舌が適切な位置にとどまり、必要な時に正しく運動できる環境を作ることで、正しく飲み込む方法(=えん下機能)や言葉を正しくしゃべる方法(=発音機能)を習得することも可能なのです。
取り外し式なのでお子様も嫌がりません
プレオルソは、取り外し式の矯正装置なので、小さなお子様でも嫌がらず、毎日装着することができます。
矯正用ワイヤーなどのパーツも付随していないため、装着時の違和感・異物感はかなり小さいです。痛みが強い場合は、お子様ご自身で取り外せます。
第1矯正期(8~12歳)
第1矯正期は、「アゴを大きくする」ことが主な目的で、8~12歳のお子様が対象です。
小児矯正における「1期治療」に該当し、床矯正、ネオキャップ・ビムラー矯正、インビザラインファーストなどで治療を進めていきます。」
床矯正とは?
床矯正とは、金属製のワイヤーとレジン製の床(しょう)で構成された矯正装置です。
装置の装着によって顎を拡大し、歯を適切に並べるための土台を築き上げます。
床矯正装置にはいろいろな形態があり、お子様のお口の状態に合わせたものをお作りします。
取り外し可能な装置ですが、装着時間は1日14時間以上と少し長めです。
床矯正のメリット・デメリット
床矯正は、取り外し式の装置なので、お子様への心身への負担を最小限に抑えられます。
また、お口のケアもしやすいことから、虫歯・歯周病のリスクも比較的少ないです。
床矯正で顎が大きくなれば、2期治療で抜歯が不要となることも珍しくありません。
ただし、お子様の協力が必須であることと、ケースによっては床矯正が適応できないこともあります。
こうした床矯正のメリットとデメリットを踏まえた上で、治療法を選択することが大切です。
ネオキャップ・ビムラー矯正
ネオキャップ・ビムラー矯正とは、2つの矯正装置を組み合せた少し特殊な矯正法です。
その名の通り「ネオキャップ」と「ビムラー」という装置を併用することで、「アゴを大きく」します。
ネオキャップは固定式の装置
ネオキャップは白いプラスチック製の被せ物で、固定式となります。
わかりやすく表現すると“少し大きめのレジン歯を装着する感覚”です。ネオキャップを装着することでお口の中が広がり、舌が動きやすくなります。
その結果、舌や頬の筋肉の運動が活発になり、歯も適切な位置へと誘導されていくのです。
ビムラーは着脱式の装置
ビムラーは、取り外し式の矯正装置で夜間だけ装着します。
金属のフレームにレジンが少し付加されており、マウスピースのような形態を採っています。
学校にいる時はつけなくても良いので、お子様への心身への負担は最小限に抑えられます。治療期間を短縮したい場合は、学校から帰宅後も装着しましょう。
専門的には「機能的矯正装置」と呼ばれ、文字通りお口の機能を利用して、顎を大きくすることが主な目的となります。
個々の歯を移動させる装置ではないため、治療に伴う痛みは少ないです。
原則として抜歯を必要とせず、「歯並び」だけでなく「顎のバランス」まで整えることができ、お子様の顔立ちも健やかに整います。
その他、虫歯になりにくい、後戻りが少ない、といったメリットがあります。
インビザラインファースト
インビザラインファーストとは、子供のためのインビザライン矯正です。
上の前歯が生えてくる混交歯列期から使用できる装置です。具体的には、上の前歯が2本と下の前歯が4本生えてくる頃から装置の使用を開始します。
インビザラインファーストも「アゴを大きくする」ことが主な目的ですが、歯並びの乱れを細かく整えることも可能です。
1期治療の新たな選択肢
これまでインビザラインによるマウスピース矯正は、2期治療からしか受けることができませんでした。
それが「インビザラインファースト」の開発によって、混合歯列期の治療にも使用できるようになったのです。
透明なポリウレタン製のマウスピースを用いることで、以下に挙げるようなメリットが得られます。
周りに気付かれにくい
インビザラインファーストのアライナー(=マウスピース)は薄型で透明なので、装着していることを周囲に気付かれにくいです。
矯正装置を「お友達にからかわれるのが心配」という方には強くおすすめできます。
食事がしやすい、虫歯のリスクが低い
インビザラインファーストのアライナーは、食事と歯磨きの際には取り外せます。普段通りに食事が楽しめて、歯磨きもしやすいというメリットがあります。
矯正装置によるケガが少ない
誤って転倒したり、遊びでボールが顔に当たったりしても、マウスピースならお口の中をケガすることがほとんどありません。
通院回数が少ない
インビザラインファーストは、2ヶ月に1回くらいの頻度で通院することになるため、親御様の送迎の負担も最小限に抑えられます。
インビザラインファーストの特徴
インビザラインファーストには、標準的なインビザラインにはない「萌出タブ・萌出スペース」、「コンプライアンス・インジケーター」などを付与できます。
前者は永久歯が正常に生えてくるためのもので、後者は装着時間を色の変化で管理できるものです。どちらも混合歯列期のマウスピースならではの優れた特徴といえます。